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何かが足りない定期更新ゲーム雑記中心。 イタい? 中2病? 褒め言葉です。
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 妖狐はけして強力な妖怪ではない。九郎は“父上”から何度も繰り返しそう聞かされ続けてきた。
 身体能力では鬼や犬神には及ばず、天狗のように多種多様な戦技も神通力もない。

 そんなものは必要ないのだと、“父上”玉藻は言った。
 妖狐にあるのは惑わす力。それさえあれば、例え箸より重い物を持てなくたって、国すら滅ぼすことができるのだ、と。



(“例外中の例外”がそんなことを言っても説得力がないんですけどね)
 久々に対峙する玉藻の力は、相も変わらず妖狐としては規格外のものだった。
 九つの尾をヤスデのように広げ、太陽のように劫火の衣を纏い、陽炎のコートに包まれて宙を舞う姿は日輪の化身のようである。
 竜のように荒れ狂う炎は、周囲と二人の“戦場”を隔絶する結界に激突し、びりびりと空気を震えさせた。
「さぁ、こいよベネット! 術なんて捨ててかかってこい!」
「誰ですかそれ……」
「ケーッ! クソ真面目なこって! ほれ、さっさと始めるぞ!」
 “父上”が不真面目すぎるんです、と心の中で独り言ち、九郎はひらりと身を翻した。彼女を中心としてふわりと渦巻いた風が、周囲の空間が幼き妖狐の支配下に置かれたことを示す。
「一式、二式、三式――四式、五式!」
 轟ッ! と九郎の周囲に五つの炎が燃え上がった。玉藻のそれとは違う、静かに漂う九郎の狐火は瞬く間に管狐の姿を型取り、ぐるりと旋回して“主”を護るように取り囲む。
 かつては三つの制御が限界だった狐火は、彼女の成長の証であった。

 お互いの非接触フェイズ<戦いの準備>が終わる。
 ――いや、まだ終わらない。
「ぶち殺す気で行くぜ?」
 実の娘に向ける物とは思えない言葉を玉藻が口にし、にやりと笑う。邪悪な微笑と、九郎の周囲がミサイルの直撃を受けたように爆散したのはほぼ同時だった。
 娘の戦闘態勢が整うまで“待つフリ”をしながら仕掛けていた、戦場に拡散させた妖力の同時起爆による範囲攻撃。言わば妖術版の粉塵爆発である。
 無駄に派手な玉藻の“劫火の衣”だが、そこには一片の無駄もない。華麗な炎舞に惑わされた者は、彼女と戦うまでもなく命を散らす。

 ――もちろん、九郎はそうではない。
 一陣の風が巻き起こり、土煙と火の粉を吹き飛ばす。その中心に立つ九郎には掠り傷一つついてはいなかった。
「さて、それじゃあやりましょうか!」
 何事もなかったかのように、九郎は微笑を返す。
 親子の“じゃれ合い”は、まだ始まったばかりであるのだから。
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