何かが足りない定期更新ゲーム雑記中心。
イタい? 中2病? 褒め言葉です。
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私はずっと孤独だった。食事の時も、お風呂の時も、眠る時も、することがない時も。
徹底的に他人との繋がりを排除された生活に、疑問を持ってはいなかった。私にとっては孤独こそが当然だったのだから、“当然”だ。
両親の顔も覚えてはいない。私の親は、私を産んだすぐ後に事故死したと聞いている。もっとも、思い出一つすらない“他人”に対して、私はさしたる感情を抱いてはいなかった。
だから当然、それは初めての経験だった。
「おっぱいテイスティングタイム!」
「うくっ……お、おい、そんなにくっつくな……」
「あー? ……ま、まぁこれから成長するってきっと! 多分!」
「気の毒そうに言うな! なんなんだお前!」
年下の少女と温泉(と化した泉)に二人きり。私は遠慮という言葉を知らないかのように身体を寄せてくる少女と(一方的にだが)じゃれあっていた。
一体どうしてこんなことになったのか、突拍子もない出来事に理解が全く追いつかない。
「お前、誰なの? そんな髪の色の人間、私、見たことない」
先ほどから何度も繰り返す、少女が何者なのかという問い。しかし頭に手ぬぐいを巻いた少女は、さっぱり答えるつもりがないようで、私の髪を指に巻きつけて遊んでいる。
「誰だっていーじゃん。細かいこと気にしてるとおねーさんの綺麗な髪が尼さんみたいにツルっぱげになっちまうぜー?」
「…………」
この調子なのだからどうしようもない。確かなのは金色の輝きをもった髪の持ち主など、里の中には一人として存在しないということ。
おそらく少女は、私の知らない“外の世界”の住人なのだろう。
私はこの時初めて、自分の手の届かない“外の世界”に興味を持った。
「今日まで会えなかった不幸よりー今日出会えたことがハッピー!」
「意味がわからない……」
“外の世界”の住人とは、こうも明るく、気持ちの良い笑顔を浮かべるものなのだろうか。
その笑顔があったからこそ、いきなり私を湯の中へと引きずり込んだ、素性も知れない少女のことを、私は特に疑いもせず、すんなり受け入れることができたのかもしれない。
「それにしても、おねーさんの肌、きれーだねー」
「自分じゃよくわからない。けど、そう? お前も十分に綺麗だと思う」
腕を撫でる小さな指がくすぐったい。
初めてのこうしたやりとりに、私が戸惑っていたのは間違いなかった。里では私は腫れ物か、或いは良くて硝子細工。そんな扱いを受けてきたのだ。
だからこそ――こうして記録を残す今ならはっきり言える。
「まるで豚の脂みたいなつややかさ!」
「褒められてる気がしないんだけど。気のせい?」
だからこそ、私は少女に惹かれていた。私に最も縁遠い、自由の二文字が人の姿をとったような、少女の愉快な言動に。
きっとこの子は、今まで笑顔で生きてきたのだろう。多くの人々との繋がりを持ち、毎日幸せに囲まれて、好きなように生きられて。でなければあんな、心の底からの笑顔を浮かべることができるだろうか?
私は少女と言葉を交わした。それは会話の形を成していたのかどうかも怪しい滅茶苦茶なやり取りがほとんどであっただろうが、私にとってその時間はまるで夢のようであり、内容まではほとんど覚えていない。
ただ一つ言えるのは、夢とは覚めるものであるということだった。
「さて、それじゃーそろそろ上がろうか!」
気がつけば、それなりに長い時間を私は少女と過ごしていた。
けれども本音を言うと、私はほんのあと少し、少女と一緒にいたかった。
……自分の意思を伝えるためには、少しの勇気が必要なのだと、私はこの時初めて知った。
「お前、これからどうするの?」
私にはそう聞くことが精一杯だった。行くあてがないのなら、することがないのなら、もうちょっとだけ同じ時間を過ごせるかもと、淡い期待を抱いた問い。
当然、そんな期待は弾けて消える。思ってもいない現実の前に。
「風の向くまま気の向くままさ。おねーさんも湯冷めしねーよう気をつけな!」
元気に言うと、少女はゆっくり立ち上がった。ざばぁと音をたててあらわになった、少女の小柄な下半身。私の視線はそこに釘付けになった。
私が見たのはゆらゆら揺れる巨大な稲穂。
一つ二つ三つに四つ、数えて九つ。
少女の小振りなお尻の後ろに、水気を弾いてゆらゆらゆらと、うごめくそれは、人の身体にあらざるもの。
「お前……その、しっぽは…………」
私は唖然とするばかり。
「僕の身体がそんなに魅力的なのかい?」
問いに答えずにぃっと笑った意地の悪い笑顔は、今でも私の脳裏に焼き付いている。
私を動かす歯車は、この時すでに壊れていた。
徹底的に他人との繋がりを排除された生活に、疑問を持ってはいなかった。私にとっては孤独こそが当然だったのだから、“当然”だ。
両親の顔も覚えてはいない。私の親は、私を産んだすぐ後に事故死したと聞いている。もっとも、思い出一つすらない“他人”に対して、私はさしたる感情を抱いてはいなかった。
だから当然、それは初めての経験だった。
「おっぱいテイスティングタイム!」
「うくっ……お、おい、そんなにくっつくな……」
「あー? ……ま、まぁこれから成長するってきっと! 多分!」
「気の毒そうに言うな! なんなんだお前!」
年下の少女と温泉(と化した泉)に二人きり。私は遠慮という言葉を知らないかのように身体を寄せてくる少女と(一方的にだが)じゃれあっていた。
一体どうしてこんなことになったのか、突拍子もない出来事に理解が全く追いつかない。
「お前、誰なの? そんな髪の色の人間、私、見たことない」
先ほどから何度も繰り返す、少女が何者なのかという問い。しかし頭に手ぬぐいを巻いた少女は、さっぱり答えるつもりがないようで、私の髪を指に巻きつけて遊んでいる。
「誰だっていーじゃん。細かいこと気にしてるとおねーさんの綺麗な髪が尼さんみたいにツルっぱげになっちまうぜー?」
「…………」
この調子なのだからどうしようもない。確かなのは金色の輝きをもった髪の持ち主など、里の中には一人として存在しないということ。
おそらく少女は、私の知らない“外の世界”の住人なのだろう。
私はこの時初めて、自分の手の届かない“外の世界”に興味を持った。
「今日まで会えなかった不幸よりー今日出会えたことがハッピー!」
「意味がわからない……」
“外の世界”の住人とは、こうも明るく、気持ちの良い笑顔を浮かべるものなのだろうか。
その笑顔があったからこそ、いきなり私を湯の中へと引きずり込んだ、素性も知れない少女のことを、私は特に疑いもせず、すんなり受け入れることができたのかもしれない。
「それにしても、おねーさんの肌、きれーだねー」
「自分じゃよくわからない。けど、そう? お前も十分に綺麗だと思う」
腕を撫でる小さな指がくすぐったい。
初めてのこうしたやりとりに、私が戸惑っていたのは間違いなかった。里では私は腫れ物か、或いは良くて硝子細工。そんな扱いを受けてきたのだ。
だからこそ――こうして記録を残す今ならはっきり言える。
「まるで豚の脂みたいなつややかさ!」
「褒められてる気がしないんだけど。気のせい?」
だからこそ、私は少女に惹かれていた。私に最も縁遠い、自由の二文字が人の姿をとったような、少女の愉快な言動に。
きっとこの子は、今まで笑顔で生きてきたのだろう。多くの人々との繋がりを持ち、毎日幸せに囲まれて、好きなように生きられて。でなければあんな、心の底からの笑顔を浮かべることができるだろうか?
私は少女と言葉を交わした。それは会話の形を成していたのかどうかも怪しい滅茶苦茶なやり取りがほとんどであっただろうが、私にとってその時間はまるで夢のようであり、内容まではほとんど覚えていない。
ただ一つ言えるのは、夢とは覚めるものであるということだった。
「さて、それじゃーそろそろ上がろうか!」
気がつけば、それなりに長い時間を私は少女と過ごしていた。
けれども本音を言うと、私はほんのあと少し、少女と一緒にいたかった。
……自分の意思を伝えるためには、少しの勇気が必要なのだと、私はこの時初めて知った。
「お前、これからどうするの?」
私にはそう聞くことが精一杯だった。行くあてがないのなら、することがないのなら、もうちょっとだけ同じ時間を過ごせるかもと、淡い期待を抱いた問い。
当然、そんな期待は弾けて消える。思ってもいない現実の前に。
「風の向くまま気の向くままさ。おねーさんも湯冷めしねーよう気をつけな!」
元気に言うと、少女はゆっくり立ち上がった。ざばぁと音をたててあらわになった、少女の小柄な下半身。私の視線はそこに釘付けになった。
私が見たのはゆらゆら揺れる巨大な稲穂。
一つ二つ三つに四つ、数えて九つ。
少女の小振りなお尻の後ろに、水気を弾いてゆらゆらゆらと、うごめくそれは、人の身体にあらざるもの。
「お前……その、しっぽは…………」
私は唖然とするばかり。
「僕の身体がそんなに魅力的なのかい?」
問いに答えずにぃっと笑った意地の悪い笑顔は、今でも私の脳裏に焼き付いている。
私を動かす歯車は、この時すでに壊れていた。
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