何かが足りない定期更新ゲーム雑記中心。
イタい? 中2病? 褒め言葉です。
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「ジュリアちゃん、本当に行く気なの?」
「そりゃ本気ですよ。でないと母上が行く気なんでしょう?」
「だって、ジュリアちゃんより私の方が強いんだもの……」
「うぐっ!」
翌日の朝になっても、“父上”こと玉藻が家に戻ることはなかった。
ジュリアが知る限り、玉藻が“母上”に何も知らせずどこかに消えたことは一度もない
ことだった。
と言っても、彼女は玉藻の心配など水の一滴もしていない。
殺しても死なないような相手の心配など、するだけ無駄だと彼女は考えている。
――が、しかし。
『はぁ……玉藻さん…………』
『母上やめて! それお茶じゃなくて醤油ですから!』
『今までこんなこと、一度もなかったのに……』
『しっぽの付け根を撫でないで! そ、そこはらめぇ!?』
『ん……ジュリアちゃんのしっぽ、玉藻さんと同じ匂い……』
『やめてとめてやめてとめてやめあみゃあーッ!?』
以上、本日のジュリア家の朝食時のやり取りである。
“母上”がこんな調子では、ジュリアの身体が持ちそうになかった。
というよりも割と貞操の危険を感じていた。
ほっといても帰ってくるだろうと思っていたジュリアであったが、早急に玉藻を連れ戻
す必要があると考えを改め、冒頭のやり取りに到る。
「と、ともかく父上のことは私に任せてください!」
「でも、やっぱり……」
「大丈夫ですって! 母上に及ばずとも、私だって毎日修行してきたんですから!」
ジュリアと“母上”を比べれば、確かに強さはジュリアが劣る。
しかし彼女としては、精神状態がメトロノームのように不安定は“母上”を探索に送り
出すには些か不安があったのだ。
主に何をやらかすかわかったものじゃない的な意味で。
「うん……そこまで言うならジュリアちゃんにお願いするわね……」
「任せてくださいよ。遅くともティータイムには二人で戻って来ますから!」
そうして半刻ほどかけて“母上”の説得に成功したジュリアは、一息ついて気合を入れ
た。
これから向かう彼女の家の倉庫は、繰り返して言うが不思議のダンジョンと化している
のである。
何があるかわかったものではない。
何が起きても不思議ではない。
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